特集 産婦人科
今日の焦点・Ⅰ
新生児高ビリルビン血症
安達 寿夫
1
Toshio Adachi
1
1東北大学医学部産婦人科学教室
pp.969-973
発行日 1969年11月10日
Published Date 1969/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204121
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はじめに
脳性小児麻痺の判明せる病因の最も大きな因子の一つは核黄疸であるが,この核黄疸の原因の半分以上は母児間血液型不適合と関係のない新生児高ビリルビン血症である。この核黄疸と新生児高ビリルビン血症との関係が注目されはじめたのは1950年代の初めであるので,その後約15年間に本症の診療に関する論文はきわめて多く,それらの応用によつて新生児黄疸の適切なスクリーニングと交換輸血が普及し,核黄疸による脳障害児は急激に減少しつつある。
しかし,この新生児高ビリルビン血症の診断は,血液型不適合による新生児溶血性疾患以外の血清ビリルビン値が高い児に一括してつけられるため,これをさらに病因別に分類しようとする研究がみられるようになつた。また治療面では,交換輸血そのものによる障害が皆無でないことと,血清ビリルビン値が交換輸血適応レベルに達する前に,その上昇を抑制しようとして各種の薬剤や光線療法などの効果を検討した報告がみられる。
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