薬の臨床
Nitroimidazole系経口抗トリコモナス剤Tinidazoleの吸収・排泄ならびに腟内移行に関する研究—Metronidazoleとの比較試験
松田 静治
1,2
,
丹野 幹彦
1,2
,
柏倉 高
1,2
Seiji Matsuda
1,2
1順天堂大学医学部産科婦人科学
2江東病院産婦人科
pp.141-147
発行日 1978年2月10日
Published Date 1978/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205782
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腟トリコモナス症は産婦人科の日常診療上最も頻度の高い疾患の一つであるが,局所療法による治療では再発率が高いため,今日ではnitroimidazole系薬剤の経口投与が本症治療の主役となり,優れた治療法として確立されている。1958年,本系統の薬剤であるmetronidazoleの出現はこの意味でも腟トリコモナス症の化学療法に一時期を画したものといえる。最近登場したnitroimida—zoleの誘導体でPfizer社Groton研究所で開発され1969年第9回Interseience conferenceで発表されたtinidazoleは経口投与可能な新抗トリコモナス剤で図1の構造式を有する。
本剤の抗トリコモナス作用はHowes1),Miller2),浅見3)ら,尾崎4,5)らにより証明されており,トリコモナスに対するcidal activityも4〜16倍強力なこと,さらには実験的腟トリコモナス症に対する効果が立証され,あわせて低毒性や副作用の少ないことも指摘されている。一方,腟トリコモナス症の化学療法に際し,薬剤の投与方法にも変化がみられ始めており,近年single doseの投与も試みられるようになった。すなわちこの方法は1日1回だけの投与であるため,治療日数の短縮と服用し易いことも,自覚症状の乏しい配偶者への投与に便利であるなど,いくつかの利点があげられる。
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