薬の臨床
血清E3と尿中E3および血清β1—SP1との相関性について—E3リアパックによる血清E3の測定
工藤 純孝
1
,
前川 岩夫
1
,
赤嶺 正裕
1
,
板橋 光司郎
2
,
中村 欽哉
2
,
仁藤 章男
2
,
加藤 徳太郎
3
Junkô Kudô
1
,
Kôjirô Itabashi
2
,
Tokutarô Katô
3
1千葉大学医学部産科婦人科学教室
2川崎製鉄千葉病院産婦人科
3川崎製鉄千葉病院検査科
pp.150-155
発行日 1978年2月10日
Published Date 1978/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205783
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胎児胎盤機能を知ることは周産期における妊産婦の管理上重要な問題である。健康管理が十分に行なわれている現在ですらhigh risk pregnancyがあとを断たず,これらのケースにおける子宮内胎児死亡,SFD児,母体死亡等々が現在産科学の問題であり,この点においてもfeto—placental unitの機能を把握する必要が生ずるゆえんでもあろう。
現在表1に示すがごとく,胎児胎盤機能検査は各方面から検討がなされているが,とくに臨床的に多用されているものは尿中estriol (E3)の測定である。Estrogenは妊娠末期には非妊時の約1,000倍量が尿中に排泄され,そのほとんどがE3であり,子宮内胎児死亡の場合には急激に減少することが知られている。cholesterolからE3に変換されるまでの過程において母—胎盤—児のおのおのの役割はすでに解明され,妊婦尿中のE3は胎児胎盤の両者の機能の反映と考えてしかるべきものと思われる。しかし,これら尿中E3は日中変動,個体差,母体の腎機能などが影響し,かなりのバラツキがあるため,現在ではdehydroepiandrosterone-sulfate負荷,あるいはE3の前駆物質の測定,あるいは15α—hydroxy E3(estetrol)の測定など種々改良が加えられつつある。
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