薬の臨床
帯下患者における嫌気性菌の検索成績とMetronidazoleの悪臭除去効果について
松田 静治
1,2
,
丹野 幹彦
1,2
Seiji Matsuda
1,2
,
Mikihiko Tanno
1,2
1江東病院産婦人科
2順天堂大学
pp.905-910
発行日 1972年10月10日
Published Date 1972/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204694
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帯下は一般に個人差によりその訴えが異なるが,生理的帯下を除いたいわゆる病的帯下の原因には微生物による炎症性のものから癌性帯下あるいはホルモン性など非炎症性のものまで多種多様のものがあり,トリコモナスなどは別として時には治療方針のたて難い症例に遭遇することがある。性器材料や,帯下の微生物検索に当り,嫌気性菌(殊に無胞子嫌気性菌)が常在菌あるいは起因菌としてしばしば分離されることに関しては産褥感染,子宮癌患者の検索から夙に報告されているが,化学療法,副腎皮質ホルモンの発達,繁用などに伴なう弱毒菌感染,菌交代症など感染症の様相に変化がみられる昨今,好気性のグラム陰性桿菌とともに嫌気性菌の感染症に果す役割が注目されるに至つた。
われわれは本菌の培養法の簡易化,分類の改良に伴ない,わが領域の嫌気性菌の臨床的意義を再検討するため現在性器,尿路における検索を続けているが,今回は帯下患者における本菌の検出成績を述べるとともに同じく嫌気状態で発育するトリコモナスとの関連性,抗生物質などに対する感受性成績,さらには本菌と関係の深い癌性帯下に対するMetronidazoleの悪臭除去効果などについて報告する。
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