特集 妊娠時の生理--その適応と異常
Ⅲ.適応異常とその周辺疾患
産褥精神病
市川 潤
1
Jun Ichikawa
1
1弘前大学医学部神経精神科
pp.1034-1040
発行日 1977年11月10日
Published Date 1977/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205729
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Ⅰ.病因・病像をめぐって
この稿で筆者に与えられたテーマは産褥精神病についてであるが,本特集のテーマは,妊娠時の適応異常に関してということであるので,産褥精神病だけでなく妊娠中にみられる精神障害にも少し触れておくことにしたい。
さて,妊娠・出産・産褥および授乳期などの生殖過程に関連して出現する精神病は,いわゆる生殖精神病(Gestationspsychose,Generationspsychose,generation psychosis)と呼びならわされている。後にも述べるように,これらの精神病のうち産褥期での発病が最も高頻度にみられることから,産褥精神病が代表的な名称となっているが,出産後6週間以後に発病した精神病を授乳期精神病(Lakt—ationspsychose)として区別する場合がある。しかし,後に述べるような理由から,このように区別することは余り意味がないように思われる。また,産褥精神病と授乳期精神病とを総称した名称である産後精神病(post-partum psychosis)を,産褥精神病(Puerperalpsychose,puerperal psychosis,)と同義的に使用する場合も多いようである。
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