特集 妊娠時の生理--その適応と異常
Ⅲ.適応異常とその周辺疾患
妊娠合併心疾患
大内 広子
1
Hiroko Ouchi
1
1東京女子医科大学産婦人科学教室
pp.1041-1044
発行日 1977年11月10日
Published Date 1977/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205731
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妊娠したことによって婦人には循環系,内分泌また形態的にも大きな変動があらわれるが,ほとんどの場合に生理現象として順調な経過をたどる。しかし心疾患合併妊産婦においては循環系の負荷がかさなるために,心予備力の点で問題がある。代償機構が十分に働いている場合には問題なく,正常婦人と同様の経過をたどるが,代償機能不全が起きると異常事態が緊急に発生し,ときに死の転帰をとることもある。心疾患合併妊産婦死亡率は1〜5%といわれ,一般妊産婦死亡率0.13%よりはるかに高い。また遠隔成績を含めて心疾患合併妊産婦の予後は悪く,心疾患の自然歴を短縮させ,短命に終わるものが多い。
心疾患合併時の妊娠,分娩は,また分娩後の育児などの仕事量の増加は,心臓が体循環の増加に適応できなくて循環不全の徴候が早期に出現するのである。
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