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はじめに
外科手術としてもともと行われていた開腹手術であるが,医師としては術野が広く操作が容易であるものの,創口が大きく,周術期の患者への負担が大きいものであった。続いて登場した内視鏡手術などの低侵襲手術(minimal invasive surgery)は,創口が小さく患者への負担は大幅に軽減されたが,医師の視野は狭く,開腹手術よりも操作が困難であり,施行するには熟練を要する。これらの短所を解決し,患者の負担を少なく,合併症を少なく,治療成績を向上させ,また,医師の負担を軽減し,医師の手が届かない場所においてまでより正確に手術を行うことを目的として,ロボットサージェリーが開発された。手術技術の習得には多くの労力と周囲の協力を要するため,残念ながら,熟練術者の数には限りがあるのが現状であるが,ロボットサージェリーでは,手術1件あたりの労力の軽減による1日あたりの手術件数の増加が見込めるだけでなく,新人術者が熟練したレベルにより早く到達することも従来の手術と比べて優れた点である。
米国食品医薬品局(Food and Drug Administration:FDA)の定義によると,コンピュータ支援手術システムは,術前計画,手術ナビゲーション,および手術操作を支援するためにコンピュータを利用するシステムであり,特にロボットによる手術支援装置を用いた手術をロボットサージェリーと呼ぶ。代表例としては,ダ・ヴィンチ外科手術システム(da Vinci Surgical System,Intuitive Surgical社)による前立腺癌の手術などが広く行われるようになってきている。眼科でも,エキシマレーザー角膜手術装置,フェムトセカンドレーザー白内障手術装置など,新たなロボット手術支援装置が開発されている。本稿では,マイクロサージェリーにおけるロボットサージェリーの現状について紹介したい。
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