特集 帝王切開術
帝王切開の適応について
藤原 篤
1
Atsushi Fujiwara
1
1広島大学産婦人科
pp.789-794
発行日 1971年8月10日
Published Date 1971/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204467
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はじめに
近代産科学の焦点は,母児の危急を救うための急速逐娩法としての帝王切開を頂点として,胎児管理と新生児管理の研究開発にあるといえる。
近年,化学療法や輸血輸液,麻酔法や手術術式などの進歩に伴い,帝切が増加していることは世界的趨勢11,20)であり,三谷14)の1948〜1957年における全国84主要病院における統計では分娩総数293,098に対して帝切数は7,425,帝切率は2.53%となつており,下村5)の1951〜1965年の全国141機関の統計では分娩460,840に対し帝切22,852,帝切率は4.8%である。飯塚5)の内外における帝切率の時代的推移統計をみても明らかであるが,帝切率は一般には1〜10%の間にあり2〜5%程度のものが多いようである。しかし,帝切率は報告者や調査時期,病院の性格などによりかなり相違が認められ,問題は帝切率の高低ということよりも,如何にして適応が決定されているかが重要である。
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