疾患の病態と治療 日常診療の再検討
周産期管理
雨森 良彦
1
Yoshihiko Amenomori
1
1日本赤十字社医療センター産科
pp.441-443
発行日 1977年5月10日
Published Date 1977/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205623
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Ⅰ.周産期管理の原点
周産期管理の目的はその母児死亡率を低減せしめることにあろうが,一見迂遠な例を引用して恐縮であるが,米国,カナダ両国において1960年から1973年までに母児周産期死亡率は約半減するに至った事実がある。これは出生率の減少,その他の因子を考慮に入れてもなお有意の低下であり,各地で輸血が行なわれるようになったこと,抗生物質の開発,帝王切開が地域病院でも広く安全に行なわれるようになったこと,妊婦管理指導が充実して異常の早期発見が可能となったことなどによるものと思われるが,ちょうどこの10年間に一致して,爆発的に普及した経口避妊薬による家族計画が達成されたことも,大いに周産期死亡率の低下に関与しているものと推定され,周産期管理の個々の技術論の前提として人口政策が背景となり原点となっていることを強調しておきたい。
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