疾患の病態と治療 リスクの高い病態の対策--産科から
新生児先天異常—とくに染色体異常
大浜 紘三
1
,
高原 宏之
1
,
久住 一郎
1
,
藤原 篤
1
Koso Ohama
1
1広島大学医学部産科婦人科学教室
pp.249-255
発行日 1977年3月10日
Published Date 1977/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205587
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先天異常congenital anomalies,birth defectsとは,一般に出生時,あるいは出生後,遠からず発見される形態的および機能的異常と解釈されているが,厳密な定義や異常の範囲となると,諸家の見解は必ずしも一致していない。しかも出生から生後1年で発見される異常の頻度は,出生時にみられる異常の頻度の半ばにもおよぶともいわれ,異常の頻度も報告者によりかなりの差異がある。
先天異常のうち形態的,器質的異常は奇形malformationと呼ばれるが,通常奇形として扱われるのは生命や,機能的にも社会的にも都合の悪い形態異常を示す大奇形major anomaliesである。これに対し,毛髪線低位,虹彩色素異常,耳介低位,高口蓋,小下顎,翼状頸,仙骨小窩,軽度の尿道下裂,外反肘,短指等は,小奇形minor anomalies,あるいは変質徴候として大奇形とは別個に扱われ,それ自体は先天異常にいれられていない。しかし大奇形—小奇形(変質徴候)—生理的変異を厳密に区別することが困難な場合も少なくないし,変質徴候の観察によって重篤な内臓奇形や染色体異常がみいだされる場合もあり,臨床的にも変質徴候の扱いは慎重でなければならない。
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