産婦人科医療--明日への展開 病態生理の新しい理解
Ⅱ.産科篇
先天異常
大浜 紘三
1
Koso Ohama
1
1広島大学医学部産科婦人科学教室
pp.891-894
発行日 1983年12月10日
Published Date 1983/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409206915
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
先天異常の頻度は一般には1〜2%とされるが,先天異常の範囲を広義に解釈すれば10%にも達する。先天異常の成因は多岐にわたり,しかも多くの場合はいくつかの因子の相加,相剰作用によって異常が生ずるため,先天異常児の出生を著しく減少させることは困難であるといわざるを得ない。また先天異常の内容も多種多様であり,病態の分析,診断法や治療法の確立に対して各分野からの取り組みがなされてはいるものの,なお未解決な問題が山積されている現状にある。そのため今回の特集テーマに該当するようなトピックス的な概念の変化というものは先天異常に関する限りはみられないが,ただ長い期間にわたる研究や調査あるいは症例の集積によって病態が次第に明らかにされつつあるものや,さらには診断や治療法の進歩により成育が可能になることによって新たな問題が生じているものもある。
そこで本稿では染色体異常についてはDown症候群を,先天代謝異常症では母性フェニールケトン尿症の問題を,薬剤の催奇形性については薬剤の代謝という問題をとり上げて概説してみたい。
Copyright © 1983, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.