疾患の病態と治療 卵巣とその周辺疾患・Ⅰ
多嚢胞卵巣症候群の病態生理と治療
青野 敏博
1
,
宮崎 正敏
1
,
三宅 侃
1
,
衣笠 隆之
1
,
倉智 敬一
1
Toshihiro Aono
1
1大阪大学医学部産科婦人科学教室
pp.393-398
発行日 1976年5月10日
Published Date 1976/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205421
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多嚢胞卵巣症候群(polycystic ovary syndrome,PCO症候群)は1935年にStein & Leventhal1)によつて1つの疾患群としてとり上げられて以来,その病態および治療に関して数多くの研究がなされてきた。しかしながら本症の病因については不明の点が多く,明確な結論は未だ得られていない。特にわが国におけるPCO患者は男性化徴候を示す頻度が少なく,steroid hormone代謝の面で欧米人との間に差のあることがわれわれによつて指摘されており2),本症診断のcritcriaについても少なからず混乱が起こつている現況である。
本稿ではまず本邦におけるPCO症候群の診断基準について私どもの考えを整理して示し,次に本症の内分泌環境について間脳—下垂体卵巣系の異常を解説し,最後に本症の治療についてまとめてみたい。
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