産婦人科医療--明日への展開 生殖内分泌学の進歩
PCO症候群—中枢からみた病態と治療対策
青野 敏博
1
,
三宅 侃
1
,
倉智 敬一
1
Toshihiro Aono
1
1大阪大学医学部産婦人科
pp.185-188
発行日 1983年3月10日
Published Date 1983/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409206770
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1935年にStein-Leventhal1)は両側卵巣の白膜の肥厚を伴う嚢胞性腫大が臨床的には1)不妊,2)無月経または稀発月経,3)男性型多毛,4)肥満などの原因となることに注目し,また卵巣の楔状切除により排卵性周期が回復することを報告した。それ以来多嚢胞卵巣症候群(polycystic ovary syndrome,PCO症候群)と呼ばれ,その病態に関して数多くの研究がなされてきた。特に中枢性病態としてLH分泌の亢進とFSH分泌の相対的な低下がみられるが,その原因は視床下部—下垂体系自身の異常なのか,卵巣からの性ステロイドホルモン分泌異常に基づく二次的なものなのかは明確でなかった。
我々はこれまでPCO症候群の中枢性病態について内分泌学的検討を加えてきたが2),本稿ではその成績を中心に諸家の報告を加えて解説し,併せて本症の治療を行った際の中枢性機序に関してまとめることとする。
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