疾患の病態と治療 妊婦管理
骨盤内腫瘍をもつ妊婦の取り扱い
杉山 陽一
1
Youichi Sugiyama
1
1三重大学医学部産科婦人科学教室
pp.219-222
発行日 1976年3月10日
Published Date 1976/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205388
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妊娠に合併してみられる骨盤内腫瘍としては,卵巣腫瘍,子宮筋腫がその主なものであろう。比較的稀には子宮頸癌の合併もみられるが,これはやや特殊な症例に属すると思われるので,本稿においては日常臨床上最も頻繁にみられる卵巣腫瘍,特に嚢胞性腫瘍(卵巣嚢腫)と子宮筋腫の妊娠合併例について述べることとする。
既に日常臨床上経験されるごとく,これらの腫瘍と妊娠との合併例の頻度はかなり高い。そしてそのような症例に対する対策ないしは治療法についても,その婦人の年齢,既往妊娠分娩歴あるいは発見時の妊娠週数,腫瘍の大きさ,数,位置,続発変性ないしは合併症の状況その他によつてかなり相異してくるものであり,それらについて以前より多くの報告がなされてきた。本稿ではこれらの合併症例の中で特に挙児希望の場合について,治療対策上近年とりあげられているいくつかの問題点を中心として述べてゆきたいと思う。
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