年間テーマ--診断から治療へ 腫瘍の転移
ひろがりの診断と治療—子宮頸癌について
岩井 正二
1
,
野口 浩
1
Shoji Iwai
1
,
Hiroshi Noguchi
1
1信州大学医学部産科婦人科学教室
pp.653-660
発行日 1975年9月10日
Published Date 1975/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205223
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I.初期子宮頸癌のひろがり —その診断および治療—
1.初期子宮頸癌のひろがりの状況
上皮内癌や微小浸潤癌では病変がいかなる部位に存在し,どのような方向にひろがるかを知ることは初期癌の診断にはもちろん,治療法を選択する上にもぜひとも必要である。
初期子宮頸癌の組織学的占居部位はSCJ(squamo-columnar junction,扁平・円柱上皮境界)に接する円柱上皮域に分布する頻度の高いことが認められている。すなわち円柱上皮域のみに存在するものおよび,扁平および円柱上皮域に拡がるが主に円柱上皮域に存在するものを合せると初期癌の70〜90%が円柱上皮域に偏在することになる。一方,扁平上皮域のみに存在するものは1,2の例外的な報告を除けば,全く認められないか,あつてもごくわずかにしかすぎない。特に微小浸潤癌に比べ上皮内癌では円柱上皮域の頻度が高く,逆に上皮内癌,微小浸潤癌,浸潤癌と進行するにつれて扁平上皮域へと拡がつていく。
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