連載 リプログクション講座・5
胎芽・胎児の分化と成長
谷村 孝
1
Takashi Tanimura
1
1京都大学医学部解剖学教室
pp.472-483
発行日 1975年6月10日
Published Date 1975/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205194
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I.ヒトの胎生期の区分
ヒトの個体の発生は受精に始まる。受精卵(fertilized egg or ovum)は分裂(分割)を繰り返し,卵管内より受精後約3日には12〜16細胞の桑実胚となつて子宮内に入り,さらに分割を続ける間に内側に腔を生じ胞胚(blastocyst)となり,内部に存する内細胞塊(後に胎芽結節embryoblastと呼ばれ,これより新個体固有の部分が発生する)とこれを取り巻く栄養膜(trophoblast)に分れる。受精後約6日で胞胚は子宮粘膜に着床する。着床した胞胚は受精後第2週以後胎芽(embryo)と呼ばれ,第2週では外胚葉(ectoderm)と内胚葉(endoderm)の2層性の胚盤(germdisc)が形成され,かつ胎児の前後軸が定まる。第3週になると胚盤の外胚葉表面に原始線条—さらに原始溝—が認められ,外胚葉の細胞が原始溝底に入り込み,ここより内胚葉と外胚葉の問に遊出して胚内中胚葉(intracmbryonic mesoderm)を形成する。これは左右に広がり胚外中胚葉(extraembryonic mesoderm)に連なる。
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