年間テーマ--診断から治療へ 妊娠維持の異常
胎児側因子と妊娠維持の異常
木川 源則
1
Tomonori Kigawa
1
1東京大学医学部産科婦人科学教室
pp.465-470
発行日 1975年6月10日
Published Date 1975/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205193
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妊卵が子宮内膜に着床して,妊娠が成立すると子宮は妊卵・胎児を保持するように働き,胎児が新生児として子宮外で生存することが可能となるよう充分に発育成熟すると子宮は胎児を体外に排出する。子宮が妊卵・胎児を保持する期間が妊娠持続期間で,これは哺乳動物の種属により異なるが,授精日から起算するとラットではおおよそ21日,ヒトでは約265日である。
このように哺乳動物には種属固有の妊娠持続期間があり,その期間の長短は動物の大きさに大体比例するといわれているが,ともかくこの期間内に胎児は体外生活可能になるまで発育する,この期間を一定に調節している機構あるいは因子,言葉をかえていえば妊娠維持に関与する機構あるいは因子についてはいろいろなものが考えられている。その主なものは内分泌的,神経的,機械的および免疫的の4因子である。もちろん,1つの因子のみで妊娠維持機構を説明することは不可能であつて,これらの因子の複雑な相関によつて妊娠は維持されているのであろう。
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