境界領域
サリドマイド胎芽病と他疾患との鑑別診断について
木田 盈四郎
1
Mitsushiro KIDA
1
1帝京大学医学部小児科学教室
pp.919-929
発行日 1972年11月25日
Published Date 1972/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904766
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緒言
サリドマイド(N-フタリル・グルタミン酸イミド)は,わが国では1956年頃から試用されたが,西ドイツでグルネンタール社が先に開発していたので,その特許権を尊重し,同社との技術提携で生産された.グ社では「コンテルガン」を1957年10月1日に発売し,わが国では大日本製薬が「イソミン」を1958年1月20日から製造販売した.この薬は,不眠症,手術前および緊張不安状態の鎮静に効能があり,妊婦,小児にも安全無害であると宣伝された.次いで1960年8月同剤を含む,胃酸過多,胃炎,消化性潰瘍治療剤プロバンMがやはり同社から市販された.サリドマイドを含有する薬剤は,約15種製造許可が出されて,その内9種が市販されたといわれている.
1961年11月27日,グ社は西ドイツ国内の薬剤を回収し,わが国では,1962年5月17日「イソミン」「プロバンM」の出荷を一時中止したが,その種の薬剤の回収は同年9月13日からであつた.
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