年間テーマ--診断から治療へ 妊娠維持の異常
妊娠維持の異常の現状と課題
前山 昌男
1
Masao Maeyama
1
1熊本大学医学部産科婦人科学教室
pp.425-429
発行日 1975年6月10日
Published Date 1975/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205187
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「妊娠維持の異常」という定義は教科書的に表現することはある意味では容易ではないが,胎児成熟前に妊娠が中絶する状態と定義されている流早(死)産という妊娠状態の終結に対する裏返しの意味をも含めて,しかもそれに至るあらゆる因子に関する問題と解釈することができる。
核エネルギーの利用さえも近い将来に約束されるほどに文化を発展させてきた人類は他の生物よりとび抜けた動物であることには間違いはないが,「種の維持」という生物学的な原則からのがれることはできない。Human reproductionにおいて,全人類の人口が近年爆発的に急増する状態にあることと同時に一組の夫婦間における家族計画に関する問題など,人間が自然界において唯一ともいえる社会的動物として生き残つてゆく上にきわめて重大な課題をかかえている。策2次世界大戦後の四半世紀においてわが国は驚異的な高度成長を遂げていわゆる世界の先進国の仲間入りをしたと見られているが,日木人は男女の平均寿命の面においても70歳を越えて,世界でも上位を占めるに至つた。
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