年間テーマ--診断から治療へ 妊娠維持の異常
子宮の形態異常—特に妊娠維持の異常について
織田 明
1
Akira Oda
1
1九段坂病院産婦人科
pp.431-435
発行日 1975年6月10日
Published Date 1975/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205188
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子宮形態異常には高度の子宮発育不全を含む各種段階の先天性子宮奇形があり,不妊の原因,妊娠維持の支障などを起こし易く流産とくに習慣性流早産の主要原因の一つに挙げられていることは衆知である。しかしこれらのうちには何ら障害のないまま見過ごされている場合が相当あるから,その実態の把握が困難な点もあつて,頻度,妊孕性などは報告者によつてかなりの違いがみられる。またShirodkar氏術式が発表されてからは子宮頸管の形態異常と認められる頸管不全症と習慣性流早産との関連性について多数の論文があり本症に対する治療法に画期的変化を与えてから既に10年余り経過した。また計画出産の普及しつつある今日においては手術手技の進歩と相まつて子宮腫瘍(主として子宮筋腫)による圧迫変形,子宮内腔の形態異常に対し妊孕力を保存するための保存的手術が重視され,しばしばこれらに関する見解が発表されている。したがつてこれらの点をも含めて子宮形態異常と妊娠維持の問題ならびに診断治療などについて最近の国内文献を参照しつつ現状を顧みることは有意であると思う。
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