原著
黄体機能不全症に対する高単位HCG療法について
森 淳躬
1
,
河野 前宣
1
,
石丸 忠之
1
,
三浦 清巒
1
Atsumi Mori
1
1長崎大学医学部産科婦人科学教室
pp.389-392
発行日 1975年5月10日
Published Date 1975/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205183
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
黄体機能不全は重要な臨床的意義を有しているが,その病態生理や定義については,未だ一定した見解が得られていないのが現状である。本症の発生機序としては,間脳一下垂体系の異常,黄体のステロイド産生機構の異常,卵巣のゴナドトロピン感受性の異常および内膜のステロイド感受性の異常(国本1)1971)などが原因となつて卵管の受精卵輸送不全,妊卵の子宮内膜着床不全あるいは着床維持不全などにより妊卵の早期中絶が起こるものと考えられる。いずれにせよ本症は多腺性の内分泌機能不全によるものであり,したがつて各症例において,原因を究明することは必ずしも容易でなく,したがつてその治療も困難である場合が少なくない。ところで最近飯塚2)は高単位のHCG投与が,尿中estrogenおよびpregnanediolを増加させ,さらに子宮内膜に対して日付診上のアンバランスを是正することを認め,高単位HCG投与による黄体機能不全症の治療を推奨している。そこで私どもも,本症に対して画一的に高単位HCG療法を施行し,HCG投与前および投与時の周期に種々のホルモンを測定してみたので,その測定成績をもとに,私どもの治験例の病態分析を試みるとともに,HCG療法の意義と効果について考察をこころみたので報告する。
Copyright © 1975, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.