症例
先天性副腎性器症候群における性機能回復の1例
森 淳躬
1
,
三浦 清巒
1
,
田川 博之
1
,
石丸 忠之
1
,
山辺 徹
1
Atsumi Mori
1
1長崎大学医学部産科婦人科学教室
pp.313-317
発行日 1975年4月10日
Published Date 1975/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205173
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先天性副腎過形成は副腎におけるステロイド生合成に関与する酵素の先天的欠乏により生じる病変であるが,その欠乏する酵素の種類によつて臨床症状も異なつている。その中で最も多くみられるのは,21—OH-lase障害によるものである。一般に先天性副腎性器症候群(AGS)において大切なことは生下時における外陰奇形の発見である。とくに女児では,本症による外性器奇形は生下時よりみられることが多いので,注意して観察し,奇形を認めたならば,まず本症を疑うべきである。このような早期診断によつて早期に治療を開始することにより男化徴候を未然に防ぐことが可能である。また思春期以後にはじめて本症がみいだされた場合はcortico-steroid投与により正常性周期に導き,さらに妊娠,分娩まで管理する必要がある。わが国においてはAGSにおける妊娠,出産症例の報告はきわめて少ない。
私どもは21—OH-lase不全によるAGSの患者において,治療により排卵せしめ得た1例を経験したので報告するとともに,若干の考察を加えたい。
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