総合講座 産婦人科と胃腸
婦人の急性腹症
鈴木 秋悦
1
,
関 賢一
1
,
小林 善宗
1
Shuetsu Suzuki
1
1慶応義塾大学医学部産婦人科学教室
pp.739-742
発行日 1974年11月10日
Published Date 1974/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205092
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急性腹症(acute abdomen)とは,腹部の激痛にはじまり,嘔吐,吐・下血,排便障害など腹部の他覚的所見と全身症状を示す,一種の症候群であるということができるが,最も特徴的なことは,その診断の早期確定の必要性にあり,時に,診断確定前に開腹を必要とすることもあり,開腹の結果,直ちに適切な処置を実施することが不可欠の症候群であるといえる。しかし最近に至り従来の急性腹症の定義の範囲としては,即刻手術を必要とする疾患のみに限つてきた概念にくわえて,今日,一般的には,純内科的なもの,特には手術禁忌の疾患も,そのカテゴリーの中に含める考え方もある(表1)。
産婦人科領域では,いわゆる急性腹症の鑑別診断上で重要とされてきた子宮外妊娠,卵巣嚢腫の茎捻転など教科書的にも詳細な説明が繰返されてきているいくつかの疾患が,これに含まれており,腹痛と不正性器出血がなんらかの形で訴えとなる救急疾患として,日常の臨床上でも非常に重要な意味をもつている。
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