総合講座 産婦人科と呼吸
胎児の呼吸
武田 佳彦
1
,
工藤 尚文
1
,
長野 護
1
,
田淵 和久
1
,
橋本 雅
1
,
人見 悦子
1
Yoshihiko Takeda
1
1岡山大学医学部産婦人科学教室
pp.445-450
発行日 1974年6月10日
Published Date 1974/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205051
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胎児の呼吸はほかの物質交換と同様に胎盤を介して行なわれる。したがつて当然のことながら母体環境によつて規制されると同時に胎盤の構造や機能,殊にその選択通過性に左右される。また呼吸機能を代表する血液ガス分圧は酸素が成人の1/4〜1/5に過ぎないところから胎児は「エベレスト山頂に生活する」という有名な比喩が用いられ,当然の帰着として嫌気性解糖系の亢進状態が胎児の呼吸代謝の特徴と考えられてきた。
ところが最近の研究の多くは逆に胎児が好気性代謝環境にあることを裏づけており,単純に胎児が酸素欠乏に強いと考えることの危険性が強く指摘されており,周産期脳障害の要因として胎児低酸素症が重視されている。
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