今月の臨床 産婦管理—on callに応える
分娩室
17.胎児仮死への対応
江尻 孝平
1
,
須賀 清博
1
,
工藤 尚文
1
Kohei Ejiri
1
,
Kiyohiro Suga
1
,
Takafumi Kudo
1
1岡山大学医学部産婦人科
pp.966-968
発行日 1993年8月10日
Published Date 1993/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901406
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胎児仮死とは胎児の低酸素状態とアシドーシスによって引き起こされた胎児の呼吸循環不全の状態である。原因は種々のものが考えられるが,分娩中の急性胎児仮死と胎児発育遅延や重症妊娠中毒症に代表されるような潜在性胎児仮死に大別される。近年,胎児管理の著しい進歩によりハイリスク妊娠においてもintact survivalが当然のごとく要求されてきている。こうした状況下において,われわれ産科医は胎児仮死への対応について十分に精通しておく必要がある。
本稿ではこの特集号の主旨より,実際分娩室で急性胎児仮死に遭遇した際,低酸素状態を軽減させる目的で筆者が行っている胎児仮死の治療法を紹介する。しかし分娩中の胎児仮死の治療は,急速遂娩が最も効果的であり,母体への酸素・輸液療法は急速遂娩までの一時的応急処置と考えるべきである。
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