総合講座 産婦人科と呼吸
新生児の呼吸
杉浦 寿康
1
Toshiyasu Sugiura
1
1名古屋市立大学医学部小児科教室
pp.451-458
発行日 1974年6月10日
Published Date 1974/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205052
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I.新生児の呼吸の特徴
1.第一呼吸
新生児の呼吸の最大の特徴は,胎内から胎外へ出た瞬間に起こる"第一呼吸"である。この第一呼吸の起こる機序については,種々な要因が考えられていることは周知の通りであるが,未だどれがkey factorであるか解決されていない。ただ,第一呼吸は,その後におこるregularあるいはrhythmical breathingとは異なりgaspingと考えられており1),Woodrumらは,動脈血酸素分圧または炭酸ガス分圧のどちらかの急速なasphy—xial changeが,このgaspingを起こすkey factorであろうと示唆している2)。しかし従来いわれている温度変化による刺戟,carotid bodyを介して起こる説,あるいは化学的刺激によらない呼吸中枢神経の働きなども重要な役割をもつと考えられており,今後この方面の研究の成果が期待されるところである。
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