特集 新生児の観察法
新生児先天異常の観察—先天性代謝異常症の早期発見について
一色 玄
1
Gen Isshiki
1
1大阪市立大学医学部小児科
pp.217-225
発行日 1974年3月10日
Published Date 1974/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205015
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近年乳児死亡ならびに出生率がともに低下するに従い,以前不治の疾患とされていた先天異常症に対する予防,治療が重視されるにいたつた。
先天異常は先天奇形,染色体異常,先天性代謝異常症の3群に分けられるが,いずれについても早期発見が重要視されている。先天奇形の治療は小児外科の進歩によつて著しく向上したが,この場合早期発見と適切な治療時期が外科治療成績を左右している。また先天奇形や染色体異常は早期発見によつて早期にその予後を予知し,適切な対策や療育を行なうことができる。これらの異常の早期発見には小奇形(minor anomaly)(表1)の注意深い観察が必要である1,2)。小奇形は胎生早期の器官形成期になんらかの異常が作用した指標であり,小奇形が2つあるときはなんらかの意味で異常があり,3つ以上ある時は1つの大奇形が存在する可能性があるといわれ,また染色体異常には特徴的な小奇形が多数合併している3〜7)。さらに精薄患者にも小奇形を合併する率が高く,特異な外表異常を示す症候群も多く知られている。新生児の診察には,まず,この外表奇形の有無に注意しなければならないが,このような外表奇形の意義あるいはそれが集合してどのような症候群を形成しているかについての理解には,先天奇形,染色体異常についてテキストでその特徴を理解しておく必要がある。
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