特集 新生児の観察法
新生児仮死の評価法と対策
前田 一雄
1
,
高橋 俊一
1
Kazuo Maeda
1
,
Shunichi Takahashi
1
1鳥取大学医学部産科婦人科学教室
pp.205-210
発行日 1974年3月10日
Published Date 1974/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205012
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I.新生児仮死の評価(Apgarスコアを中心に)
ごく単純な観察では,新生児仮死は児娩出後の無呼吸状態であり,これが初期条件と受けとられがちであるが,通常その根底には脳中枢の抑制や未熟,諸臓器の障害や不全が存在するのであるから,これらの異常をもつとも的確に表現し,かつ新生児の予後推測も可能で,さらには仮死蘇生法の選択にも役立つような評価法を施行することが臨床的に有用である。
古くから行なわれる第1度仮死(青色仮死,軽症仮死),第2度仮死(白色仮死,重症仮死)の分類法は,正常新生児を含めて3段階に分類する方法であり,各段階において,呼吸,反応,皮膚色,筋緊張,心拍動その他の徴候がすべて相関し,同一の程度に出現するならば的確な分類が可能となるが,各徴候の出現に不均一さがあると判定は主観的になり,的確さを欠くようになる。現実にはむしろ後者の場面が多いのではないかと思われ,この点から,また近年の医学データ定量化の傾向から,Apgarスコア(表1)2)のように各徴候について点数を総合して判定に供する方法が普及するに至つたものと考える。
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