誌上シンポジウム“新生児”・7 新生児の呼吸障害(下)
新生児仮死蘇生法
島田 信宏
1,2
1国際聖母病院産婦人科
2慶応義塾大学医学部産婦人科
pp.636-639
発行日 1967年8月10日
Published Date 1967/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409203745
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
1.仮死蘇生の理論
仮死の新生児の蘇生術,まず一番先に考えられますことが気道の開放とそれをいかに保持していくかということだと思います。最初にやりますのが児頭が娩出されますときに,新生児の顔をふくということでございますが,これは鼻のほうから口にかけて1回ちよつとふいただけで鼻腔内にあります粘液,羊水などほとんど大部分が押し出されてしまうということで,重要なことだと思います。
それから吸引のカテーテルを使いまして羊水を吸引する方法は,新生児は口から呼吸ができませんので,まず鼻から吸引をしていただく。それから口腔の中,咽頭といくわけですが,長い時間同じところを吸引しておりますと,刺激になりまして,咽頭反射なども起こつて参りますので,できるだけ頻回にちよくちよく吸引するということが大事であろうかと思います。それから舌根が下がつてしまうような場合にはair wayを入れる,それでもだめな場合は気管の中に挿管をする。これは仮死の新生児にいきなりチアノーゼがあるところへ,挿管の操作をいたしますと,ますます咽頭反射,迷走神経反射などでチアノーゼが強くなつたり,呼吸が出てきませんので,必ずマスクやバッグで酸素を十分与えたあと,あわてずに気管内挿管をするということが必要です(表1)。
Copyright © 1967, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.