診療室
新生児仮死の蘇生法について
久保 博
1
1国立東京第二病院 産婦人科
pp.461-463
発行日 1955年3月10日
Published Date 1955/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409201172
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新生児仮死の対策はその原因によりほどこす処置も勿論同一ではないが,何れの場合に於ても高度仮死の場合には人工的に空気又は酸素を肺胞内に送入する方法を講ぜねばならない。従来行われて来た,シユルツエ氏振揺法,緒方氏発啼法等は危険性が大きいため今日殆ど行う者がなく,胸廓圧迫法,屈伸法Silvester氏法,Prochownik氏法等は高度の場合には充分な効果を期待し得ぬことが少くない。かゝる場合には積極的に空気或は酸素を直接肺胞内に出入させる方法が有効であつてその方法としては従来,幼稚な術者の口による直接法からEngelman, Flagg或は杉田氏等の装置があるが一般には用いられておらない。吾々は昭和27年暮から独逸製Drägerの新生児人工蘇生器(第1図)を入手し,使用する機会を得,好成績を挙げ得たので,その使用法,基礎実験,並びに,経験例を紹介して批判を乞うこととする。
装置及び使用法,第2図に見る如くで,先ず酸素ボンベ①の開閉バルブ②を開放すると,ボンベ内の圧が直ちに酸素圧力計⑤に示される。次に酸素圧調節用バルブ(減圧弁)③をかるく開けると,マスクに送られる酸素が調整用圧力計④に示されるが針を赤の標示(水柱圧15.0cm)に合わせる。其の圧の酸素は吸入及び呼出の切換装置に流れるが,切換レバー⑥のInhaleの位置でゴム管⑧マスク⑨を通り新生児に送り込まれる。
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