原著
卵管形成術への血管縫合器応用について—ならびに妊娠成功例について
高野 昇
1
,
川島 裕
1
,
田巻 勇次
1
Noboru Takano
1
1千葉大学医学部産科婦人科学教室
pp.145-149
発行日 1974年2月10日
Published Date 1974/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205001
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卵管は単なる卵巣と子宮との連絡路のみでなく,機能的な役割を果し,この卵管環境が受精,受精卵の初期発生に重大な影響を持つていることはいうまでもない。しかし,実際問題として,卵管にどのように病理組織学的な変化があろうと,卵管の疎通性がまず回復されなければ妊娠の可能性を得ることができない。完全卵管閉塞症について,人工卵管,他人の正常卵管移植,体外授精などが研究されてはいるが,未だ臨床応用の段階でないのが現状である。現実の問題として,卵管閉塞症に対して,あるべき卵管を,うまく利用して妊娠の可能性を作り出すことにかかつている。
卵管形成術に血管縫合器(中山式)(図1)を応用して妊娠に成功,成熟生児を得ることができた。この症例を報告すると同時に,検討を加えてみたので報告する。
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