特集 胎児死亡
胎内死亡児の処置と母体のケア
森 一郎
1
,
森田 尚武
1
,
丸田 茂徳
1
,
滝井 清子
1
Ichiro Mori
1
1鹿児島大学医学部産科婦人科学教室
pp.29-34
発行日 1974年1月10日
Published Date 1974/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204981
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胎内死亡児の処置は,かつては,胎児は死亡すれば異物となるから,自然に陣痛が発来するのを待つという通念のため,胎児の死亡が確定してから長時日後にこれが行なわれたり,またこのような例では,児を望むものの多いことと,胎児の死亡について直ちに決定的な診断を下す方法があまりなかつたため,経過の観察に時日がかかり,胎児の死亡が確定して直ちに処置を行なつても,胎児の死亡後かなり時日を経ていることが多かつた。
ところが最近では,胎内死亡についての診断法の進歩や,子宮内に死児が長期間稽留するような場合には低線維素原血症(DIC)が起こりやすいということなどから,なるだけ早く胎児の死亡を確定し,直ちに処置して母体の万全をはかる,すなわち安全確実な胎児娩出術を行なうことが一般的になつている。しかし,胎児の死亡の確認については妊娠初期でなお問題点があるし,また胎児娩出術は,妊娠月数により一応方法論があるものの,胎児が死亡するような例では母体に合併症も多いので,必ずしもこれらを画一的に行なうわけにはなかなかゆかない。
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