連載 バルナバクリニック発 ぶつぶつ通信・38
母の命を守るため胎内死亡した赤ちゃん
冨田 江里子
1
1St. BarnabasMaternity Clinic
pp.456-457
発行日 2007年5月25日
Published Date 2007/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665101014
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ハイリスク妊婦のネリッサ
死亡から長期間子宮内に留まった胎児は,あちこちの皮膚が破れ,変形している。産婦が「この子が私を守ってくれたのね……」,そう呟きながら,自分の命が守られたことへの深い感謝を小さな赤ちゃんに話しかけている。
離島の巡回診療で妊婦のネリッサと出会った。妊娠7か月なのに血圧は240/140。しかし浮腫みなどは一切ない。「血圧高いね,いまも頭が痛かったり肩が重かったりするでしょ?」。私の言葉に危機感もなく,「どうしてわかったの? そう,ずっと頭が痛いのよ。夜も昼も眠れないの」。
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