薬の臨床
卵管通過障害に対する線維素溶解酵素の治療経験
植村 次雄
1
,
鈴木 直行
1
,
高口 二郎
1
,
塩島 令儀
1
Tsuguo Uemura
1
1横浜市立大学医学部産婦人科学教室
pp.861-866
発行日 1973年10月10日
Published Date 1973/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204895
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われわれの不妊クリニックにおける昭和45年度の不妊原因別頻度1)についてみると,卵巣因子,男性因子,炎症,卵管因子の順に多く,最近,卵管因子によるものは次第に減少の傾向を示しているように思われる。しかしながら,卵管因子による不妊の治療は困難な場合が多い。
われわれは卵管機能検査およびその治療の方針を次のごとくしている(図1)。すなわち,原則的にX線テレビ透視下子宮卵管造影(以下TV・HSGと略す)を行ない,注入圧,卵管の疎通性,腹腔内への造影剤の流出のしかた,手指での圧迫による卵管像の変化,卵管の可動性等々を詳細に検討する2)。それで卵管通過障害の認められた場合にはその治療として,卵管の治療通水を1周期に1回,3周期を1クールとしておこない,その後,再びTV・HSGで検討し,改善の認められない場合には腹腔鏡検査を施行,卵管形成術の適応の有無を検討している。しかしながら,卵管閉塞に対する手術成績は現在,なお満足すべきものではなく,その意味でも卵管通過障害の治療における卵管通水法の比重は大きい.
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