今月の産婦人科
新生児肺硝子様膜症の臨床
貝原 学
1,2
Manabu Kaibara
1,2
1東京大学医学部産科婦人科学教室
2関東中央病院産婦人科
pp.1047-1053
発行日 1973年12月10日
Published Date 1973/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204970
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肺硝子様膜症(Hyaline membrane disease,以後HMDと略す)は特発性呼吸障害症候群(Idiopathicrespiratory distress syndrome,以後IRDSと略す)とも呼ばれている疾患である。未熟児に好発し,病理学的に肺内の好エオジン性ガラス様物質沈着を特徴とする,古くから知られている疾患である。本症のために毎年,新生児1,000人当り約5人が死亡するといわれている1)。本症の本態について,かなり解明されてきたとはいえ,現在のところ予防法および治療法について確立されたものがない。
本症に罹患した児の予後は,生後2〜3日以内で決定されるため,とくに産婦人科医にとつて重要な疾患である。従来,本症については主として小児科や病理学領域で関心がもたれ,研究が進められてきたのであるが,本症を根本的に解決するためには,われわれ産婦人科医の積極的な参加が必要とされている。筆者は,本症の基礎(本誌27巻10号)にひきつづき臨床面について,最近報告された文献を中心に総説を試みた。
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