特集 産婦人科プリンシプル
婦人科編
月経随伴症状の本態
鎌田 昌平
1
Shohei Kamata
1
1岡山大学医学部産婦人科学教室
pp.823-826
発行日 1973年10月10日
Published Date 1973/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204888
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
月経随伴症状の中で最も頻度の高いものは,何といつても月経時の疼痛を主徴とする月経困難症と月経前期に精神神経症状を呈する月経前緊張症であろう。これらの症状は婦人科領域の愁訴の中でも最もよくみられるものの1つに属し,社会的にも最も重要な時期である成熟婦人に発生し,しかも周期的に発来するため,著しく日常生活を障害し,その労働を妨げる大きな原因となり,このため生ずる日常生活における労働のロスはきわめて大きなものとなつている。したがつてこれらの病態の解明と適切な治療方法の確立は,婦人科領域の大きな焦点であるといつても過言ではなかろう。かような観点により,これらの病態についてのアプローチもすでに100年以上も前から追求されつづけているが,現実には確固とした解答が与えられていない。そこで著者は十分な解答がでないまでも,これらの病態の本態について私見もまじえながら言及してみたい。婦人科領域における下腹部疼痛の基礎的知識,婦人科を訪れる場合,初診時その主訴の1/5は下腹部痛であるといわれ,その中の約40%が婦人科領域の諸臓器に基因するといわれている。
Copyright © 1973, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.