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月経随伴症状—女性の生理を正しく理解するために
松本 清一
1
,
小沢 陸男
1
,
豊泉 清
1
1群馬大学医学部産婦人科学教室
pp.52-56
発行日 1966年2月1日
Published Date 1966/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611203137
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□□□はじめに
女性の一生は性機能の活動状態を基にして,小児期,思春期,成熟期,更年期,老年期の5つの時期に分けられる.小児期は性機能がまだその活動を全然行なっていない時期であり,成熟期は性機能が順調に活動し,月経の周期的発来,妊娠,分娩など本来女性にそなわっている本質的な機能を営む時期であり,老年期は性機能がすでにその活動を中止した時期である.また思春期は小児期から成熟期への移行期で性機能の活動が始まり,初潮の発来,二次性徴の発現が見られる時期であり,更年期は成熟期から老年期への移行期で性機能が次第にその活動性を減じて,ついに完全に停止するに至る時期である.
月経という現象は思春期に発来する初潮から更年期における閉経まで,妊娠や授乳の時期を除いて健康な女性なら誰にでも周期的に発来する,きわめてありふれた現象である.今日ではいろいろの雑誌,書物などを通じて正しい月経の知識が一般に広くゆきわたっているような印象を受けるが,日常多数の患者に接している私ども産婦人科医の眼からみると意外によく理解されていないことに気づくことが少なくない.たとえば月経が不順だという人の話をよく聞くと,月経開始の日が暦の上の日付けで毎月異ることから不順と思いこんでいたり,月経周期は何日かと質問すると反射的に28日目にきちんとあると答え,くわしく聞くと実際に自分で数えたことは一度もないという人もある.
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