薬の臨床
悪性腫瘍治療時Cepharanthin大量静注の造血機能に及ぼす影響について
飯田 和質
1,2
,
瀬川 秀隆
1,2
,
粟野 利春
1,2
,
細野 泰
1,2
Kazutada Iida
1,2
1金沢大学医学部産科婦人科学教室
2福井県立病院産婦人科
pp.249-253
発行日 1973年3月10日
Published Date 1973/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204797
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婦人科領域において悪性疾患のうち一部の早期癌を除いて根治手術とともに放射線療法は不可欠の治療法であり,とくに子宮頸癌III期以上では放射線治療が主療法であることは変らない。また,体部癌,頸部腺癌および卵巣癌に対しても各種の制癌剤とともに放射線療法が併用されている。これらの治療を行なうときに副作用としての造血機能の障害は従来より治療上の問題点として注目され,ことに白血球減少に対して各種の治療が行なわれているが決定的なものはみられない。Cepharanthinは従来より悪性腫瘍治療時に造血機能に対し効果が認められているが,今回その大量静注療法をとりあげて検討してみた。Cepharanthinは1934年に近藤によつて防已科値物Stephania属の"たまさきつづらふし"から抽出したAlkaroidで免疫体産生作用,網内系機能亢進作用,抗Allergy作用,自律神経調整作用および抗Hyaruronidase作用を有するといわれている。今回,当院で入院中の悪性腫瘍患者でTelecobalt照射中の患者に連日Cepharanthin 50mgの静注療法を行ない,その血液性状の変化について検討したので報告する。
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