特集 感染症の今日的問題
子宮癌術後感染症について
千原 勤
1
,
田代 貫一郎
1
,
太田 正博
1
,
井上 武夫
1
Tsutomu Chihara
1
1愛知県がんセンター婦人科
pp.683-690
発行日 1972年8月10日
Published Date 1972/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204655
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はじめに
手術時の術創感染に対する防禦対策の改善と各種の有力な抗生物質の開発などにより,今日では婦人科領域における術後感染症の占める比重が漸次軽減しつつあることは事実である。しかしながら術後感染症の治療という古くて新しい問題は未だ完全に解消されたとはいい難く,逆に抗生物質の乱用は,耐性菌感染という困難な問題をも惹起している。
ことにわれわれが日常従事している子宮癌の根治手術に随伴する術後感染症は,尿管瘻の誘因となり得るほかに,長期間にわたつて術後損傷された膀胱機能の回復に悪影響をおよぼしがちであるため,特にその対策には苦慮するところである。
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