今月の臨床 難治性合併症を診る—婦人科
難治性疾患
28.子宮癌術後の尿失禁
近藤 厚生
1
1名古屋大学病院泌尿器科
pp.1264-1265
発行日 1994年10月10日
Published Date 1994/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901929
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子宮癌術後の尿失禁と再発性の腹圧性尿失禁は,難治性尿失禁の双璧であろう.本稿では,広汎子宮全摘出術後の尿失禁について述べるが,この主題について論じた論文はきわめて少ない1-3).
多くの外科医は手術の成功率と技術上の困難度とを比較し,手術を断念する症例が少なくない.この手術はリンパ郭清が必要であり,そのため膀胱収縮に不可欠の骨盤神経が損傷され,また末梢循環障害も発生して膀胱の線維化が発症する.この状況に放射線治療が追加された患者では,病態がさらに複雑となり治療に難渋することが多い.臨床症状は多彩であり,膀胱炎,血尿,混濁尿,尿閉,溢流性尿失禁,腹圧性尿失禁,尿意喪失などである.
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