原著
子宮頸癌の組織型と予後—好銀細胞癌を中心に
井上 武夫
1
,
葛谷 和夫
1
,
西 日出郎
1
,
千原 勤
1
,
松山 睦司
2
Takeo Inoue
1
,
Mutsushi Matsuyama
2
1愛知県がんセンター病院 婦人科
2愛知県がんセンター研究所 超微形態学部
pp.745-750
発行日 1981年10月10日
Published Date 1981/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409206502
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
1957年Reaganら1)が子宮頸部扁平上皮癌を,非角化大細胞癌,角化癌,小細胞癌に分類することを提唱し,1959年Wentz and Reagan2)が放射線治療患者の予後がこの組織型分類と高い有意差をもって関連していることを報告して以来,主に放射線治療後の予後と頸癌組織型との関連の有無が検討されてきた3〜5)。手術治療患者の予後との関連の有無は十分な症例数を集めて検討された報告がない。そのために,発生頻度の低い小細胞癌の特徴は解明されていない6,7)。
われわれは788例の浸潤子宮頸癌手術例の検討から,頸癌組織型と予後との関連を解明し,小細胞癌が大細胞癌,角化癌,腺癌に比べ有意に予後不良であり,その原因がリンパ行性の転移率の差にあるのではなく,血行性転移頻度の差にあることを明らかにした。さらに,小細胞癌の16%に認めた好銀染色陽性癌が,好銀染色陰性小細胞癌に比し,有意に予後不良であることが判明した。これらの知見は,頸癌組織型分類が,放射線治療患者の予後追跡に限らず,手術治療患者の予後追跡にも有用であることを示すものである。
Copyright © 1981, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.