特集 絨毛性腫瘍
絨毛性腫瘍肺転移の外科治療
石原 恒夫
1
Tsuneo Ishihara
1
1慶応義塾大学医学部外科学教室
pp.605-608
発行日 1972年7月10日
Published Date 1972/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204638
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悪性腫瘍の転移の場として肺は肝とともに重要な臓器である。全悪性腫瘍の30%が肺に転移するといわれているが,とくに絨毛上皮腫,骨肉腫が高率をもつて肺に転移することはよく知られているところである。
一般に転移性肺腫瘍の治療法としては,肺切除術がもつとも信頼しうるものであり,原発の腫瘍が完全に処置されていて肺切除術が技術的に可能であり,しかも患者の全身状態が開胸術に堪えうるものであれば,われわれは積極的に肺切除術を行なつてきた。絨毛上皮腫を原発とする転移性肺腫瘍も決してその例外ではないが,Liら1)はじめ多くの報告2-10)にみられるようにMethotrexate (MTX),Actinomycin D (ACTD)に代表される化学療法剤の効果は今や正当に評価され,絨毛性腫瘍に対する治療法としては化学療法が基本となり,転移巣に対する外科治療もつねにこの原則の上に立つて行なわれるようになつた。
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