研究
当院におけるIUD (intrauterine device)の臨床成績—第1報
村山 茂
1,2
,
根本 謙
1
Shigeru Murayama
1,2
,
Ken Nemoto
1
1東電病院産婦人科
2慶大医学部
pp.151-154
発行日 1972年2月10日
Published Date 1972/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204563
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子宮内装置(intrauterine device, IUD)を用いる子宮内避妊法(intrauterine contraception),すなわちIUD法の臨床成績については,従来,多くの発表が行なわれてきている。症例報告的なもの(主に失敗例),各病院からの総合統計的な多数例の成績,あるいはまた,IUDの種類による成績の比較を述べたものなど,各種のものが見られる。しかしながら,ある一つのクリニークにおける長期のまとまつた臨床成績についての報告は比較的少ない。この理由は,IUDをめぐる社会的環境ももちろん原因の一つであつたが,IUDを実際に使用している一般実地医家は,一部を除き,研究発表を得意とせず,反対に,研究発表を得意とする大学病院においては,IUDの実地使用が従来ほとんど行なわれていなかつたことがその原因と思われる。
したがって,特異な症例,失敗例などについての症例報告は従来も発表されてきたが,実際そのクリニークにおいて,家族計画としてIUDをどのように使用してきたかという実態についての報告,たとえば,外来総数,年間分娩数に対する比率,あるいは,年度別に使用者が,途中で使用を中止して,どのように減少していくか(Termination Rate)といつたことについては,ごく簡単な統計的調査すら,ほとんど報告されていないのが実情である。
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