今月の臨床 婦人科内分泌療法─病態の理解と正しい診断に基づく対処・治療のポイント
不妊・避妊
9.IUD
閨谷 奈津子
1
,
高木 弘明
1
,
笹川 寿之
1
,
牧野田 知
1
1金沢医科大学医学部産科婦人科学講座
pp.517-520
発行日 2011年4月10日
Published Date 2011/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102642
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1 概 念
1. 子宮内避妊器具(intrauterine device : IUD)とは
IUDとは子宮内に挿入する合成樹脂製の器具を言い,受精卵の着床を防ぎ妊娠を防止する作用がある.当初は単純な合成樹脂製の非活性型が中心であったが,最近は銅イオンの着床阻害作用を利用した銅付加型や排卵抑制作用を持つプロゲストーゲンであるレボノルゲストレル(LNG)付加型などの活性型があり,おのおのの妊娠率は銅付加型で0.6~0.8%,LNG付加型で0.2%とされている.経口避妊薬(ピル : OC)での飲み忘れの可能性を考慮すると,一般的な使用の場合では経口避妊薬より高い避妊効果を有するとされている(表1 1)).IUDの利点は一度挿入するとその後特別な処置を必要とせず避妊効果が継続することである.活性型の場合,銅やLNGの効果がなくなっても,少なくとも非活性型としての効果は維持される.逆に欠点としては医師が挿入しなければならない,下腹部痛,月経血の増加や月経期間の延長,自然脱出などがある(表2).
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