臨床メモ
IUDと付属器炎
竹内 久弥
1
1順天堂大学産婦人科
pp.300
発行日 1975年4月10日
Published Date 1975/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205170
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欧米における発達と普及,わが国での公式使用許可と,これからのIUDの利用はますます盛んになるものと思われる。それに伴つてIUD装着による種々の副障害も徐々にクローズアップされてくるであろうが,今回は付属器炎との関係についての報告のひとつを紹介する。
イスラエル,テルアビブ大のJ.A.Goldman (Contraception 8,521,1974)はIUD装着に合併した8例の感染性卵巣のう腫を経験しているという。その1例はIUD装着前から卵巣のう腫の存在を承知しており,装着1年後に発熱と腹痛を症状とした卵巣のう腫の細菌感染と茎捻転を起こし,開腹手術が行われた。また,他の1例はIUD装着後9カ月で発熱と腹痛があり,卵巣のう腫を思わせる腫瘤を触知したので,経腟的に穿刺が施行されて膿が吸引されたため,抗生物質を投与して開腹した。次の例も同様にIUD装着後7ヵ月で高熱と腹痛を訴え,開腹により破裂した卵巣のう腫とダグラス窩への膿の貯留が認められたという。これらの例ではIUDの種類は異つており,特定のIUDに起こりやすいようには見えない。興味深いことは卵巣のう腫内とIUDからは全く同一種の細菌が検出されていることであろう。
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