薬の臨床
銅附加IUD:Gravigardの臨床効果について(第3報)
我妻 堯
1
,
久保 武士
1
,
宇都宮 睦房
1
,
堀口 貞夫
2
,
三枝 義人
2
Takashi Wagatsuma
1
,
Sadao Horiguchi
2
,
Yoshihito Saegusa
2
1東京大学医学部産科婦人科学教室
2東京都立築地産院産婦人科
pp.245-250
発行日 1976年3月10日
Published Date 1976/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205396
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経口避妊薬(ピル)とともに,子宮内避妊器具(IUD)は,近代的な出生抑制の手段として現在広く用いられている。世界的には約1,500万人の婦人が現在使用中と推定され,米国だけでも1974年に300万人〜400万人の女性が装着しているといわれる。過去にIUDを使用した婦人まで含めれば,世界全体で恐らく数千万人に達するであろう。
わが国においては従来,リング型のIUDが普及していたが,昭49年8月に,国産IUDの中で太田リングと優生リングの2種類が厚生省より製造・販売を許可されて以来,各種IUDの臨床研究が活発に行なわれるようになつた。IUDは,避妊効果と自然脱出率,出血・疼痛などの副作用による除去率と,器具そのものの形態,材質,強度,内膜に接するIUDの表面積などが複雑に関係し,現在までに数10種類におよぶものが製造使用されているが,未だ理想的なものは考案されていない。しかしながら,1968年にZipperら1)が,各種金属の子宮内避妊作用を検討し,銅・亜鉛が強い着床阻止作用を有することを発見して以来,従来のポリエチレン・ポリプロピレン製の不活性IUDに対し,金属や薬剤を附加した活性IUD (Bioactive IUD)が注目されるようになつた。
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