診断と手技
腹腔鏡
山本 浩
1,2
,
岩田 嘉行
1,2
,
中村 英世
1,2
Hiroshi Yamamoto
1,2
1川崎市立病院産婦人科
2慶応義塾大学医学部産婦人科
pp.629-635
発行日 1971年7月10日
Published Date 1971/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204438
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はじめに
子宮内の正常妊娠が満期に至つて,胎児とその付属物の母体外への娩出という形で自然に終結するのに対し,子宮外妊娠(以下外妊)は,まれな例外を除けば,満期まで持続することはなく,母体腹腔内での出血および中絶という形で終局を迎えることになる。放置すれば,しばしば母体を死に至らしめ,しかも決してまれな疾患ではないので,われわれ臨床医の念頭から常時消え去ることのない疾患であるといつて過言ではなかろう。
しかしその診断は必ずしも容易ではなく,臨床経過や内診所見,各種の臨床検査結果などの綿密な検討によつても治療の方向を見定めるのに困惑を感ずることがしばしばある。また死に至る疾患であるからといつて,疑わしい症例の全てに試験的開腹術を試みることも不可能ではないが,対象例の拡がりと侵襲,合併症などに思いをめぐらせる時,全面的に賛同するわけにいかない。
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