カラーグラフ
帯下の診断
水野 重光
1
1順天堂大学産婦人科
pp.306-307
発行日 1971年4月10日
Published Date 1971/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204387
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帯下の原因は複雑で,比較的容易に診断しうる場合もある反面,診断困難例,従って治療方針の立てにくい症例に遭遇することもかなり多い。原因としては局所病変に基づくものが多く,しかもこれらには微生物が関与する場合が少なくない。しかし,局所病変による場合でも微生物とは無関係のものもあり,また全身性疾患ないし異常による帯下もあるわけだから,帯下の診断に当っては,問診により帯下およびこれ以外の自覚症状の種類,強弱,経過,誘因等について詳しく聴取し,微生物感染を思わせる症状の有無をあらかじめ知ることは重要である。
一方,生理的に頸管粘液および腟内容の増量する場合のあることを常に念頭におき,不必要な治療を避けることを心がけたい。図1は清浄度第I度の腟内容であるが,こういう例は白色濃厚,糊状に近いもの,月経周期のある時期に限って増量するものなどで,エストロゲン過剰による特殊例を除いては治療を必要としない。排卵期の透明な頸管粘液の増量に対してはいうまでもない。
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