疾患の病態と治療 難治疾患の対策--婦人科外来から
帯下
松田 静治
1,2
Seiji Matsuda
1,2
1順天堂大学医学部産婦人科
2江東病院
pp.131-135
発行日 1977年2月10日
Published Date 1977/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205564
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帯下は腟,外陰,頸管,子宮腔からの分泌物が生理的,病的に増加した状態であり,この病的のものを治療対象とするが,他覚的に病的帯下を認めても何ら訴えのないことや,他覚的に異常を認めなくても帯下感を訴えたりなど個人差が多い。帯下を主訴として外来を訪れる患者は産婦人科医の日常診療で最も頻度が高いが,なかでも再発をくり返し,長期にわたり治療を必要とする難治性帯下に遭遇する機会も極めて多いものである。一般に腟炎患者にいえることであるが,直接生命の予後に関与しないという安易さから,従来,腟炎の診療が無雑作に行なわれる嫌いがなくもない。この点治療方針の不徹底,治療量の不備などがいたずらに難治性疾患にしてしまうおそれのあることを指摘したい。従って帯下外来においてはまず帯下の成因(局所性,全身性),宿主側の要因を配慮しながら原因を究明し,特に難治性帯下に対しては微生物検査はもちろんのこと細胞診,組織診,その他を適宜に駆使して的確な診断と合理的治療を心がける必要がある。
以下本稿では難治性帯下の代表疾患の対策と治療法のいくつかをあげてみたい。
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