臨床研修セミナー 手術手技
III.卵巣・卵管手術
良性卵巣腫瘍の手術
宮川 勇生
1
,
村田 博久
1
Isao Miyakawa
1
1大分医科大学産科婦人科学教室
pp.568-575
発行日 1990年7月10日
Published Date 1990/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409900125
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卵巣には胎生期から老年期まで,良性群,中間群,悪性群に分類される多種多様の腫瘍が発生する。日本産科婦人科学会卵巣腫瘍登録委員会分類には良性群として5つの嚢胞性腫瘍と8つの充実性腫瘍が挙げられている。
これまで産婦人科医は卵巣腫瘍手術時に迅速(凍結)病理組織学的診断が得られる施設が限られていたことや,温存した卵巣に老年期に悪性腫瘍が発生することを過度に危惧して,良性腫瘍であっても,ややもすると摘出する傾向にあった。しかし,卵巣は卵子を保有する種族保存のための重要な臓器であるとともに,女性ホルモンを産生分泌する内分泌臓器でもあることより,良性卵巣腫瘍では出来るかぎり卵巣の機能保存(温存)手術を行うことが基本である。さらに近年,体外受精—胚移植(IVF-ET),配偶子卵管内移植(GIFT)の進歩により卵巣や卵管の保存手術の重要性が問われ,殊に若年者の良性卵巣腫瘍の手術手技には一層配慮が必要である。
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